2017年9月7日
~モジュラーデザインを採用し、ベストセラー機SR-20Jをリニューアル~
当社は、スイス型自動旋盤(注1)SRシリーズの新製品「SR-20JⅡ」を開発し、 2018年5月から販売を開始します。
2008年に販売開始した前身モデルの「SR-20J」は、高い機械剛性により、自動車、医療関連などのあらゆる分野の部品加工市場から、高評価を得ています。今回リニューアルした新製品は、開発および製造リードタイムの短縮を図るため、昨年発表した「SR-32JⅡ」に続き、モジュラー設計・生産方式を採用しています。
機械構造面では、正面加工用のクシ刃型刃物台に、前身モデルから引き続き当社独自の スラント型すべり案内面構造(注2)を採用。刃物台剛性を高めることで、安定した精度での長時間連続加工を可能にしています。 また、多様化が進む部品加工ニーズに柔軟に対応するため、ガイドブッシュ切換え機構を採用。材料の振れ止め装置の働きをして、モーターシャフトなどの全長寸法が長い部品を高精度で加工できるガイドブッシュ仕様と、廃棄される残材を短縮して、ナットなどの短い部品を無駄なく加工できるノンガイドブッシュ仕様(注3)に1台で自由に変更することが可能です。そして、ノンガイドブッシュ仕様の際には、加工時に発生する切削負荷をすべり案内面で支持することで主軸台剛性を確保する主軸筒すべり案内面構造(注4)を採用するなど、機械全体の剛性向上に配慮しています。
さらに、余裕のある機内作業スペースを確保するために、切削室および主軸台室のドアに、跳ね上げ式構造を採用。また、最適なポジションでの機械操作を可能にする旋回式パネルを採用しています。NC装置には、アラームの内容をNC画面上で確認できるアラームヘルプ機能を始めとした各種ヘルプ機能を付加するなど、機械、ソフトの両面からオペレーターの操作性、作業性の向上を図っています。
【高剛性・高精度】
【高機能】
スイス型自動旋盤は、時計部品を加工する機械として、1870年代にスイスにおいて考案されました。別名“主軸移動型自動旋盤”とも呼ばれ、直径に比べて部品長が長い部品を高精度に切削できる点が大きな特徴とされています。
一般的には、細長い部品を汎用旋盤で加工を行うと、加工物がたわみを起こして正しい寸法に仕上げることができません。
スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュを用い、刃物はガイドブッシュから一定距離の位置で、外径方向の切り込み運動のみを与えるため、加工物はたわみを起こさずに、高精度に切削することができます。また、軸方向の運動は刃物台が移動するかわりに、主軸台が材料をくわえた状態で移動する機械構成となります。
機械本体側ベースと刃物台を傾斜(スラント)させ、お互いの摺動部をアリ溝と呼ばれる台形状に加工して摺り合わせる摺動面構造です。この構造にすることでお互いの摺動部が面で接触し、機械剛性が向上します。また、ボールネジ中心と切削点が近接する構造となり、切削抵抗によるねじれ方向への荷重(モーメント荷重)を減少させることができます。
スイス型自動旋盤を基に、ガイドブッシュを取り外した主軸移動型自動旋盤です。ガイドブッシュが無いため、細長い部品加工には不向きですが、ガイドブッシュが無くても加工物がたわまない短い部品であれば、材料を有効に使用することができます。
スイス型自動旋盤では、材料の振れ止め装置の働きをするガイドブッシュ構造部の寸法分だけは、棒材の後端部分を加工することができずに残材として廃棄することになります。
ノンガイドブッシュタイプでは、廃棄される残材の長さを、ガイドブッシュタイプの3分の1程度に削減することができます。
素材を把持した状態で移動する主軸台の主軸筒部分の外径寸法に合わせて加工した摺動面構造です。主軸筒と案内面の隙間をなくした構造にすることで、切削時に主軸台にかかる加工負荷をすべり案内面で支持し、主軸台の剛性を向上させることができます。
機械事業部 営業部 部長 増田 文雄 (ますだ ふみお)
Tel. 0537-36-5586